◆ 江戸へ ◆

著作:ママコさま

鳥羽・伏見の戦いで新撰組も大阪へと敗走し、

徳川慶喜、松平容保らが江戸へと戻ってしまうと

残るされた者達には解兵することが決まる。

新撰組の負傷者は富士山丸に乗り込み海路で江戸へ向う事になった。




斎藤と土方は富士山丸の人気の無い場所で

二人は寄り添うように逢引をしている。

季節は冬、外はまだまだ風が冷たいので二人は外へ出ようとしない。

そこへ、幕府典医松本良順があらわれる。

「おっ、土方君、逢引の最中なのか? 」

と二人に声を掛ける。

「うっ、先生!!」

土方は振り返り松本を見る。

「ちょっと外の風にあたろうかとも想ったがまだ寒いだろうな。

・・いやそのままで結構。

江戸へ着いたら逢引する暇もない位に忙しくなるぞ!! 

この船の中ならばまあ敵は居ないし

今のうちにしっかりと愛を深めて置くんだな。はははははは、邪魔したな!!」

というと船室へ戻って行った。

「先生!! 松本先生。・・」

土方は先生の後を追うように体を動かそうとする。

「待ってぇ、行かないでっ、・・もう少しここに居て!」

斎藤は土方の袖を掴んで慌てて引き止める。

土方はハッとして、(そうだっ、俺は斎藤と逢引をしていたのだ。) 

直ぐに斎藤のほうへ向くと斎藤の顔を覗きこむ。

斎藤は恥ずかしさと悲しさの混じった顔をして土方を睨み付ける。

「いやっ、もう少し・・」

というと斎藤は己の腕を土方の背にまわして土方に抱きつく。

それから顔も体も土方の体に強く押し付けるようにして両腕に力を込めて行く。

自分から抱きついたことなど決してしなかった斎藤なのだが、

ここは富士山丸の中でもはや京都では無い。しかも外は一面の海である。   

斎藤を此処までに追い詰める気持ちにさせているの一体なんだろうか?

「斎藤、お前どうしたんだ?・・ん?」

「あぁ、京都へ戻りたい!!」

「う、バッ、バカッ!! 今更何を言い出すんだ!!」

土方は斎藤の顔を己の胸から引き剥がすと、ジッーと見詰める。

「解ってるよ、・・だけど嫌だぁ、帰りたい。・・」

斎藤は今にも泣き出しそうに悲しそうな顔をする。

「だ、駄目だ!・・近藤さんや負傷した隊士達も一緒にこの船に乗っている。

とにかく江戸へ行って負傷した者達を早く治さないと。」

「局長、・・沖田さん、うぅっ、・・嫌だぁ。・・」

斎藤は頭を左右に振り、"嫌だ"を繰り返す。

「ふぅ、困ったなあ? 斎藤、とにかく近藤さんの居る船室へ行くか?」

「嫌だぁぁぁ。」

斎藤は悲しさに耐え切れず頭を左右に振り続けている。

強く土方を抱きしめている斎藤の腕を引き剥がすと

その腕を掴んで嫌がる斎藤と一緒に近藤の居る船室へと向う。




「近藤さん、土方です。」

と言って扉を開けると近藤がベットの上に横たわっている。

「傷の具合はどうですか?」

「土方君、うぅっ、痛い、・・なんだね。」

上半身をベットから起こしながら近藤は起き上がろうとする。」

「あっ、随分と痛そうですね、そのまま寝てて下さい。」

「うぬ、これくらいの傷、・・痛っ、いたい。」

近藤は傷の痛さに顔を歪ませる。

「あの、斎藤君の様子がちょっとおかしいんですよ!」

近藤は痛みを堪えながら土方の顔を見上げる。

「何っ、斎藤君がどうかしたのか?」

続いて土方の後に付いて来た斎藤のほうを見る。

斎藤はまだ悲しいのか下を向いたまま軽く会釈をする。

「斎藤君、黙って下を向いたままでは良く解らないよ。」

と近藤は斎藤に話かける。

仕方なく斎藤は顔を上げて近藤と目を合わせる。

「なんだ、そんな悲しそうな顔をしていつもの斎藤君らしくないなあ。」

近藤は呟くようにいう。

「富士山丸に乗り込んでも行く先は、"お江戸"だぞ。

何日も船に泊り込み乗り続けるわけじゃ無いし。

なに、一晩位で直ぐに着いちまうよ!! もうホームシックに成ったのか?」

斎藤は黙ったまま悲しそうに近藤を見ているだけである。

「あっ、土方君ちょっと斎藤君と二人きりにさせて貰えるかなあ?」

近藤は土方のほうを向くと土方にいう。

「そうですね、近藤さんにお任せしましょう。」


と土方はいうと斎藤を置いて一人、船室を出る。

近藤のいる船室を出た土方は何処へ行く宛てもなくぶらぶらと歩く。

ふと見ると少し前を人が歩いている。先程斎藤との逢引中に出あった松本良順先生である。

土方は足を速めて先生に追いつくと

「先生、先程はどうも失礼しました。」

少し照れながら先生に挨拶をする。

声を掛けられて良順先生は振り向いて答える。

「あっ、土方君、いやこちらこそ失礼した。あれっ、斎藤君は一緒じゃないのかね?」

「それが、その、・・あの後突然斎藤君が妙に騒ぎ出してしまって今局長の所へ行ってます。」

「えっ、あんなに冷静な斎藤君が突然騒ぎ出したって、如何したのかな?」

「俺にはさっぱり解りません。」

土方は困ったと言うように良順先生を見る。

「うーーむ。」

良順先生は土方の顔を見ながら何やら考え込んでしまった。




しばらくして良順先生はなにか意味有りげなことを言い出した。

「土方君、そのなあ斎藤君と前回に逢引したのはいつだったのかなあ?」

土方は先生は何を言い出すのかと、顔を紅くしながら良順先生を見る。

「前回は、と聞かれてもなあ?、はていつだったか?・・ ええと、・・」

突然聞かれて土方はちょっと想い出せない。

「ええと、局長が襲撃された日より更にもっと前、だったかなあ?」

土方は、ハッとして思い当たる事があると想った。

「土方君?、何か思い出したかね?・・」

良順先生は土方の様子を見て少しほっとしたようにいう。

「でも、今は船の中ですし、どうしようも無いなあ。・・」

土方は床に目を落とすと沈みこんでしまった。

「どうですか、なんなら今から私の船室を使ってください。」

良順先生は微笑みながらそれとなく土方にいう。

「えっ、何っ、・・先生の船室を・・ですか?・・」

「私はこれから近藤さんを始め、負傷した隊士達を少し時をかけて治療してまわりますから。」

「先生、そんな、・・よ、よろしいのですか?」

「ははははは、私は構わんよ!! 斎藤君があのまま精神不安定では可哀想ですよ。」

「で、でわお言葉に甘えさせて頂きます。」

というと土方は良順先生に一礼して急いで近藤の居る船室へと向った。





「土方です、入ります。」

と土方が声を掛ける。

「土方君か、入りたまえ。」

近藤が部屋の中から声を掛ける。

「近藤さん、斎藤君は落ち着きましたか?」

土方はベットに座っている近藤を見ていう。

「うむ、先程よりだいぶ落ち着いて来たようだ。もう少しすると、・・」

近藤は斎藤のほうを見ながら土方に話かけた。

そのとき斎藤は顔を上げて土方のほうを見る。

土方も気に成って仕方の無い斎藤を見ると斎藤と瞳が合う。

するとしばらく落ち着きを取り戻していた斎藤だったのだが、

「副長!!」

と叫ぶと土方に飛び掛るようにして抱きつく。

「おっ、おい、よ、よせ。近藤さんの前だぞ。・・よせ。・・」

「嫌だぁぁ。」

と更に斎藤は両腕に力を込めて土方に抱きつく。

「うっ、・・斎藤君、・・困った奴だなあ。・・」

この様子を見て近藤は困り果ててしまった。

「近藤さん、今から斎藤君をちょっと連れて行きます。」

土方は近藤に軽く会釈をすると抱きつく斎藤の腕を引き剥がして

その腕を掴むと嫌がる斎藤を連れて船室を出て行った。





土方と斎藤は松本良順先生の船室の前に来た。

斎藤はそっぽを向いたままで土方に手を曳かれていて土方が扉を開けた。

室内をちらっと見た斎藤は頭を左右に振り入ろうとしない。

土方は無理やり斎藤を室内へ入れると後ろ手で扉を閉める。

斎藤は土方のほうへ向くと、また両腕を土方の背にまわして抱きつく。

もう人目を気にする必要は全く無くなった。

土方も斎藤の背に腕をまわして斎藤を抱きしめる。

「斎藤、お前が好きだ、愛してる。」

と土方は斎藤の耳元で優しく囁く。

(うっ、優しく心に染み入るような土方さんの声。

随分と前に聞いたような、そうだ!! 今日まで長い間聞くことが出来なかったこの声。)

----------こんなにも俺は副長のことを深く愛していたとわ!!-----------------

斎藤の瞳からはもう止まることの出来ない涙が零れ落ちる。

「うぅぅぅぅっ、・・副長!!・・」

土方は斎藤の泣き顔をそっと見つめる。

それから斎藤の唇に唇を重ねてそれをゆっくりと吸い上げていく。

「クチュ、クチュ、クチュ、」

それは二人の接吻をする唇の間から甘く切なげに微かな音となりまわりに漏れる。

「斎藤、江戸に着いてもお前を絶対に手放すものか!!」

土方は唇を離すと泣いている斎藤の顔をそっと見つめていう。

「副長。・・」

斎藤は土方の胸の中に己の顔を埋める。




「この部屋でもいいだろ、斎藤!!・・」

だいぶ落ち着いて来た斎藤は、顔を上げてコクリと頷いた。

斎藤の袴と着物を手早く脱がせると、己の袴と着物も手早く脱ぐ。

互いに下帯以外は纏っていない姿となる。

土方は斎藤をゆっくりとその場に横になるように寝かせる。

「あぁぁっ、・・」斎藤は少し声を出す。

土方は斎藤の耳元へ己の唇を置くと耳をあまく噛み始める。

「うんっ、・・あぁぁっ、・・」

くすぐったい様な妙な感覚に斎藤は喘ぎ声を出す。

唇を首筋へ這わせるとそこを少しきつく吸い上げる。

「いや、・・ぁぁっ、・・」

言いようの無い熱い想いが斎藤の体中をほとばしる。

土方が斎藤の胸へと己の手をそっと置くとその胸の突起を指に挟んで摘み上げる。

「あぁっ、・・あっ、・・」

一瞬斎藤の体がガクリと持ち上がり再び喘ぎを始める。

「副っ、・・長っ、・・あっ、・・いっ、・・」

土方はその胸の突起を手のひらで転がすようにして斎藤のほうを見る。

再び甘い声を出して気持ち良さそうに喘ぐ斎藤を見ていると

土方も次第に斎藤のその喘ぐ妖艶さに引かれていき、熱い想いが込み上げてくる。




そっと斎藤の下帯に手を触れると斎藤の一物を下帯の上から手の中へと包み込む。

「うぅん、・・あぁ・・」

そのそっと握られる感触に斎藤は体中に熱い想いが走りそして喘ぐ。

この斎藤の喘ぐ様子を見て土方の一物もいつしかそそり立ち始める。

土方はお互いの二人の下帯を取ると、立ち上がりかけた斉藤のそれを握りしごき始める。

「いっ、いい、・・あぁ、・・」

斎藤は体をくねらせ更に喘ぎ、土方は斎藤のそれをにぎりしめなから更にしごき続ける。

斎藤の一物が一段とそそり立つと先端から先走りの精が漏れる。

土方は斎藤の両足を持って押しあげ、その先走りの精が漏れる一物を口の中へと押し込む。

その一物を舌の上へ乗せて更に最奥へと入れてゆきゆっくりときつく吸い上げていく。

「あぁん、・・いくぅ、・・」

斎藤はもう耐え切れなくなって先端から一気に精を噴出す。

土方の口の最奥でその精は流れ出し、

「ゴクッ、・・ゴクリ」と微かな音を立てて土方は斎藤のその先端から吹き出た精をすべて飲干す。

「斎藤、お前が愛しい、・・斎藤、・・」

土方は顔を上げて斎藤のほうを見る。

達してしまった斎藤はぐッタリとなる。




次に土方は斎藤の両足をもう少し押しあげると斎藤の陰部が目の前に露になる。

それを己の舌を使って舐め始める。

「あぁぁん。」

グッタリとしていた斎藤が突然の陰部への生暖かい舌の触れる感触で声を出し始める。

「斎藤!!」

土方は更に斎藤の陰部を舐めてそれを柔らかくして行く。

頃合を見計らって己の指をその陰部へと進入させていく。

「痛いっ、うっ、・・」

土方は指を使い更に進入先の中を一物を招きやいように柔らかくして行く。

最初はその進入した指先を押し出そうとしていたのだが

いつの間にかその指を招き入れるようにと変わっていく。

「もう良さそうだな。」

土方は己の一物を斎藤のそれへと腰をうごかしながら一気に挿入する。

「うぅぅっ、・・」

斎藤はそそり立つ土方の一物が挿入される苦しさのあまり呻き声を出す。

斎藤の先程達してぐったりとしている一物を土方は空いている手で握るとしごき始める。

「あぁぁん。」

次第に斉藤の体に熱を帯びた甘くて激しい感情が込み上げてきてその一物はそそり立つ。

「斎藤!!」

土方は斎藤のそのそそり立った一物を見て更に己の腰を突き上げていく。

「あぁんっ、・・・うぅっ、・・いっ、くっう。・・」

斎藤も土方ももう限界に達していた。

「うぅっ、・・いっ、・・く。・・」

この土方の声に斎藤もとうとう我慢が出来なくなり二人は同時に達した。



土方は己の一物を引き抜くと斎藤の直ぐ側に横になった。

「斎藤っ、・・愛してる。・・」

土方は側でグッタリと成っている斎藤の耳元に口を寄せて静かにいう。

「ふ、副長。・・俺も、・・好き。・・」

斎藤は真っ直ぐに宙を見詰めたまま恥ずかしそうに呟く。






「コンコン!!」

そこへ扉を軽く叩く音がした。

「あの、・・土方君、そろそろよろしいかな?。」

扉の外で隊士達の回診を済ませた松本良順先生の声がする。

「あっ、先生すみません、今しばらくお待ちください。」

土方が返事をする。

「いいよ、いいよ。もう少しゆっくりとしなさい。

俺は近藤さんの所へ行っているから。」

松本良順は扉の前から去っていく。



「斎藤、・・そろそろ起きて着物を着るぞ。」

土方は起き上がろうとする。

「嫌、・・もう少し側にいて!!」

斎藤は頭を左右に振って土方に覆いかぶさる。

「なっ、!!・・さ、・・いとう、・・よっ、よせ!!」

慌てて土方は斎藤を引き剥がそうともがく。

「嫌、嫌、・・やだぁ。・・」

斎藤は引き剥がされまいと必死に土方にしがみつく。

「ふう!! しょうがねえなぁ。」

両腕を上げると斎藤を宥めるようにそっと抱きしめる。

次第にきつく抱きしめていく。

「あぁぁん。」

斎藤は甘えるような声を出して土方の胸の中で顔を押し付ける。

それから土方の顔を見ようと己の顔をあげると斎藤の唇に土方の唇が重なりあう。

「クチュ、クチュ、クチュ。」

唇を吸い上げる音が僅かに室内に響く。

それから土方の唇が斎藤から離れていく。

「んっ、斎藤、もういいだろ?・・」

斎藤は土方の顔を見つめたまま、黙って頷く。

(ほんとに斎藤、お前は可愛いな。)








二人はゆっくりと起き上がると部屋に散らばっている己の着物を掴んで身支度をする。









それから・・・・・・・










二人揃って局長のいる部屋へとゆっくりと歩いていく。




その後江戸へと入った徳川慶喜は、謹慎生活を送る事になり

新撰組も次第に江戸では暮らせなく成って行き

この先副長と斎藤一の逢引も次第に難しい状況となって行く。

それからこの二人の歩む人生もこの大きな歴史の渦の中に流されて行くのであった。











( 終わり )







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うふふ☆甘えん坊でおねだり斎藤さんが無茶苦茶可愛い〜><と、
読んでいる私の気分は土方さんでした。はい。(笑)
船の中での逢瀬だなんて、なんだかとってもそそられますな☆(ゴクッ)
情緒不安定になってしまうほど、心に大きな傷がついてしまった斎藤さん
この後のことを考えると胸がとってもイタイ><
強くなれ!斎藤!!
と、
応援せずにはいられない私なのです。


ママコさま。素敵可愛い小説をどうもありがとうございました〜∩∩)

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